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不適切な印象操作「中学武道に銃剣道「追加」ではなく「明記」 朝日新聞、ミスリード指摘に紙面で回答」

GoHoo
2017年4月8日
中学武道に銃剣道「追加」ではなく「明記」 朝日新聞、ミスリード指摘に紙面で回答
GoHooが朝日記事に対して「ミスリード」だと報じた。
GoHooが指摘している内容は、銃剣道が従来から武道の種目として選択可能で指導要領解説「保健体育編」の巻末参考資料に、日本武道協議会加盟団体の実施種目として言及されていたことを根拠として、朝日記事が今回新たに銃剣道が選択種目として追加されたかのようにミスリードした、というもの。*1

学習指導要領本体にそれまで明示されいなかった「銃剣道」が「追加」されたことは事実であり、それまでも銃剣道を選択することが可能だったというのも「地域や学校の実態に応じて」といった限定的なものであり、「原則として」「柔道, 剣道又は相撲」「に加えて履修させること」という扱いに過ぎなかった。

また, 原則として, その他の武道は, 示された各運動種目に加えて履修させることとし, 地域や学校の特別の事情がある場合には, 替えて履修させることもできることとする。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/01/21/1234912_009.pdf

銃剣道」の文言は、巻末参考資料中の日本武道協議会加盟団体実施種目のひとつに挙げられているに過ぎない。
新指導要領に「銃剣道」を明記する形で追加されたことは、単純な変更とは言えず、むしろGoHoo記事は、その変更内容が些細な内容で注目するにあたらないとミスリードするものといえ、不適切な印象操作という他ない。

読売新聞の同様の記事については指摘しない

GoHooは「「銃剣道も選択可」あるいは「銃剣道を追加」との見出しで報じていた」と朝日新聞記事を批判しているが、読売新聞が「「中学武道 銃剣道を追加」との見出しで記事化していた」件については、文中の記載から「例示として明記されたことが分かり、誤解を与える報道ではないと判断した」としている。
朝日新聞の3月31日記事は多数の論点が示されており銃剣道に関する記載は少なく、その記事内の記述に「例示として明記されたこと」を示す必要性に乏しい。
中学武道に銃剣道を追加 体育で「異性への関心」は残る」の記事中に銃剣道に関する記載は「このほか「学校や地域の実態に応じて種目が選択できるよう」として、中学の武道に新たに「銃剣道」を加え、武道9種目を示した。」の一文のみ。
翌4月1日には、「実際に公立中1校が授業で実施していること」を報じており、読売新聞に対する判断と同じ基準を用いるなら、誤解を与える報道ではないと判断されるべき。

GoHooは読売新聞に対する場合と朝日新聞に対する場合で判断基準を変えているといわざるを得ず、朝日新聞に対してネガティブな印象操作を行っている。

「「追加」ではなく「明記」との表現に事実上修正」はミスリード

GoHooは4月7日の朝日記事「(Re:お答えします)銃剣道、中学指導要領に」について「事実上修正」と評価している。

明確な訂正はしなかったが、「誤解を与える報道内容になっている」との日本報道検証機構の指摘に応答する形で、「追加」ではなく「明記」との表現に事実上修正した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20170408-00069681/

しかし、GoHooは「読売新聞も3月31日付で「中学武道 銃剣道を追加」との見出しで記事化していた。ただ、(略)誤解を与える報道ではないと判断した」と述べているように、「追加」表現そのものを読売新聞の場合は容認している。
また「明確な訂正はしなかったが」などと、本来なら明確に訂正すべきだったかのような印象操作を行った上に、「「追加」ではなく「明記」との表現に事実上修正した」と朝日新聞記事が間違っていると決め付けた上で朝日新聞は明確な訂正を避けたかのように読者を誤解させる記述となっている。

GoHoo記事は「新中学校学習指導要領に新たに明記された点」を軽視し、何の懸念もない変更であるかのように不適切な印象操作を行っている。

銃剣道」が新中学校学習指導要領に追加されたことは事実であり、「新中学校学習指導要領に新たに明記された点」に着目して報じることに報道機関として問題があるとは言えず、むしろ、全日本銃剣道連盟のロビー活動や自民党国会議員の働きかけなどの事実を踏まえれば、批判的な立場からの報道はあってしかるべきである。
逆にGoHooは、そのような着目点から目を逸らし本質的でない部分で誤報ともいえないものをミスリードだと決め付け、その結果、「新中学校学習指導要領に新たに明記された点」を軽視看過させている。
銃剣道が新中学校学習指導要領に新たに明記されたことを報じる朝日新聞記事をミスリードだと決め付け、読者に銃剣道が新中学校学習指導要領に新たに明記されたこと自体が誤報であるかのように誤解させる危険性が高いといわざるを得ない。


中学武道に銃剣道「追加」ではなく「明記」 朝日新聞、ミスリード指摘に紙面で回答

楊井人文 | 日本報道検証機構代表・弁護士 4/8(土) 17:27

朝日新聞は新小中学校の新学習指導要領に関し「中学武道、銃剣道も選択可」などと報じた記事について、4月7日付朝刊の「Re: お答えします」コーナーで、学習指導要領の改訂に関する補足説明を行い、社会部次長名で「今後ともわかりやすい記事を心がけます」と表明した。明確な訂正はしなかったが、「誤解を与える報道内容になっている」との日本報道検証機構の指摘に応答する形で、「追加」ではなく「明記」との表現に事実上修正した。
問題となったのは、朝日新聞が3月31日付朝刊の「聖徳太子復活、数千の意見/中学武道、銃剣道も選択可」と見出しをつけた記事。本文では「『学校や地域の実態に応じて種目が選択できるよう』として、中学の武道に新たに『銃剣道』を加え、武道9種目を示した」と報じていた。
デジタル版にも「中学武道に銃剣道を追加」との見出しで掲載され、Yahoo!ニュースにも配信されたほか(現在、トピックスは削除)、朝日と提携関係にあるハフィントンポストも銃剣道が新たに追加されたとの誤解を前提にした反響記事を出していた。(*1)
新指導要領で銃剣道が例示として「明記」されたこと自体は事実だが、従来から銃剣道も武道の種目として選択可能だった。8年前に改訂された現行の指導要領では、必修化された武道の種目として柔道、剣道、相撲のほか「なぎなたなどのその他武道」と記載され、指導要領解説編の記載から「その他武道」に弓道、空手道、合気道少林寺拳法銃剣道も含まれると解釈されていた。今回の改訂では、武道9種目すべてが列挙されたにすぎず、銃剣道などが新たに選択できるよう改訂されたわけではない。

「武道」の種目に関する学習指導要領の記述の変遷

【現行学習指導要領(2008年3月公示)】

「F武道」の(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,地域や学校の実態に応じて,なぎなたなどのその他の武道についても履修させることができること。

出典:中学校学習指導要領「保健体育」。「アからウまで」とは柔道、剣道、相撲の3種目のこと。学習指導要領の解説編「保健体育」参考資料は「日本武道協議会加盟団体実施種目」として「柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道少林寺拳法なぎなた銃剣道」と列記。

【学習指導要領改訂案(2017年2月14日公表)】

「F武道」については,柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた弓道合気道少林寺拳法などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。また,(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実態に応じて,空手道やなぎなたなどについても履修させることができること。

出典:中学校学習指導要領案

【新学習指導要領(2017年3月31日公示)】

「F武道」については,柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた弓道合気道少林寺拳法銃剣道などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。また,(1)の運動については,アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお,学校や地域の実態に応じて,空手道,なぎなた弓道合気道少林寺拳法銃剣道などについても履修させることができること。

出典:学習指導要領

しかし、朝日新聞はこうした経緯を説明せずに「銃剣道も選択可」あるいは「銃剣道を追加」との見出しで報じていた。翌日、「中学武道に追加の「銃剣道」とは?」と題した解説記事を掲載したが、誤解を払拭するような説明はなく、文末で「銃剣道を授業で実施している公立中学は全国で1校」と触れただけだった。
朝日新聞は「Re: お答えします」で、今回の記事の趣旨について「旧日本軍の戦闘訓練に使われていた銃剣術の流れをくむ『銃剣道』が、新中学校学習指導要領に新たに明記された点に着目して報じたものです」と説明した。その上で、文科省が当初公表した改訂案(2月14日公表)で明記されていたのは銃剣道を除く武道8種目だったが、銃剣道の明記を求める全日本銃剣道連盟の要望や自民党内の呼びかけがあったと指摘。パブリックコメントを経て正式に決まった新指導要領で銃剣道も明記されるに至った経緯を説明した。
一方、読売新聞も3月31日付で「中学武道 銃剣道を追加」との見出しで記事化していた。ただ、文中では「必修の武道の例として『銃剣道』を加えた。すでに指導要領の解説書には記載があり、『銃剣道も加えるべきだ』との意見が数百件あった。現在、授業に取り入れている学校は全国で神奈川県内の中学校1校」と説明していたため、例示として明記されたことが分かり、誤解を与える報道ではないと判断した。

(*1) ほかにも誤解に基づく記事がいくつか確認される。
・日本の中学で「銃剣道」を教える? 軍国主義の復活だ!=中国メディア(サーチナ 2017/4/5)
銃剣道を指導要領に追加した文科省の大失態(JPRESS 2017/4/7)
(*2) 今回の報道を受け、AbemaTIMESに 鈴木健全日本銃剣道連盟副会長のインタビュー記事が掲載されている。
(*3) 学習指導要領の記述の変遷表を追記しました。(2017/4/8 18:00)
(*4) NHKによれば、平成27(2015)年度の中学武道の種目採用数は、以下のとおり。(2017/4/9 17:30追記)
•空手…230校、なぎなた…77校、合気道…43校、少林寺…27校、銃剣道…1校。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20170408-00069681/