誤報「交錯する各国の思惑 「くず債券」扱いのまま、信用獲得へ日米参加が必須」

産経新聞
2017年6月17日

 インフラ建設で1件当たり数千億円の投融資を行うには国際金融市場で債券を発行し、民間資金も調達する必要がある。だが、AIIBは債券の「格付け」がなおも得られず、「ジャンク(くず)債券」扱いのまま。高金利を示さないと市場で資金調達できない。
 17日の会見で、金立群総裁は年内の格付け取得に自信を示したが、最大の懸念は格付けの良しあしだ。
 最大の出資国である中国は米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスに追い込まれている。中国の国債格付けは先月、1989年の「天安門事件」以来、28年ぶりに格下げされた。債務負担増が理由で、中国政府に焦燥感が広がった。AIIBが得る格付けが「中国」を超えることは、不可能だ。
 国際金融筋は、「信用力の高い日米が参加して初めて、アジア開発銀行(ADB)や世銀のような最上位の格付けが得られる上、ODA(政府開発援助)の長年にわたる実績を使わなければ途上国支援は“絵に描いた餅”」と指摘した。

http://www.sankei.com/world/news/170617/wor1706170035-n1.html

AIIBが得る格付けが中国の国債の格付けを超えることは、不可能だと記載している。




「アジア投資銀、最高格付け=債券発行で資金調達へ」

2017年6月29日に、産経新聞では中国を追い込んでいると記載されたムーディーズ・インベスターズ・サービスが、AIIBに対し最高格付けである「Aaa(トリプルA)」を付与した。産経新聞が記載した、中国の国債の格付けを超えることは不可能、という内容は間違っていたことが事実によって示された。
産経新聞記事と同時期に書かれた朝日新聞記事では、AIIBの格付けについて否定的な予測を抱かせるような記載は無かった。

 中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は17日、2度目の年次総会を開催中の韓国済州島で記者会見し、債券発行に必要な格付けを「年内に得られると信じる」と述べた。今の投融資は拠出金が原資だが、債券を発行すれば、より多くの投融資ができるようになる。
 AIIBは現在、国際大手3社、中国2社の格付け機関と格付けの取得に向けた交渉をしている。金氏は「中国の豊富な貯蓄を活用できる。日本の債券市場も忘れていない」と日中での資金調達に期待を示した。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12993256.html

産経新聞の記事は事実や客観的な予測ではなく、願望に近く予断と偏見をもって書かれていると評価する。

1 報道内容に事実に反する部分があるか(Y/N)
2 それは報道内容の主旨に影響するか(Y/N)
3 報道時点の既知の事実から合理的に推論できる内容か(Y/N)

1=Y、2=Y、3=N
判定:誤報

2017.6.17 22:03

【AIIB年次総会】

交錯する各国の思惑 「くず債券」扱いのまま、信用獲得へ日米参加が必須

 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を舞台に関係国や周辺国の“思惑”が交錯している。
 「日本の記者は(AIIBに)関心が高いね。どうして政府代表は来なかったのかな」。会場で名刺交換したAIIB中国人幹部は記者にこう畳み掛けた。
 関係筋によると日本政府は年次総会の「招待状」を受け取っていたが政府代表を派遣せず、慎重姿勢を貫いた。一方、「中国側はAIIBに日米を引き込まなければ立ち行かない」(国際金融筋)のが実情だ。
 インフラ建設で1件当たり数千億円の投融資を行うには国際金融市場で債券を発行し、民間資金も調達する必要がある。だが、AIIBは債券の「格付け」がなおも得られず、「ジャンク(くず)債券」扱いのまま。高金利を示さないと市場で資金調達できない。
 17日の会見で、金立群総裁は年内の格付け取得に自信を示したが、最大の懸念は格付けの良しあしだ。
 最大の出資国である中国は米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスに追い込まれている。中国の国債格付けは先月、1989年の「天安門事件」以来、28年ぶりに格下げされた。債務負担増が理由で、中国政府に焦燥感が広がった。AIIBが得る格付けが「中国」を超えることは、不可能だ。
 国際金融筋は、「信用力の高い日米が参加して初めて、アジア開発銀行(ADB)や世銀のような最上位の格付けが得られる上、ODA(政府開発援助)の長年にわたる実績を使わなければ途上国支援は“絵に描いた餅”」と指摘した。
 北京のAIIB本部の人員は日本なら地銀にも及ばぬ100人ほどの陣容。ADBが職員数千人で融資審査を独自に行うのとは対照的だ。しかも中国側は、鳩山由紀夫元首相をAIIBの顧問役に就任させたことが“逆効果”になっていることに気づいていない。
 年次総会を通じて際立ったのがインドの交渉術の巧みさ。AIIBが金融面で支援する中国主導のシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議が先月、北京で行われたが、インドは安全保障上への懸念から政府代表の派遣を拒んだ。
 メンツを失ったにもかかわらず、AIIBは来年の年次総会をインドのムンバイで開くと決め、インドの基金向けに165億円の初の投資案件も承認した。地政学的にインドの協力が欠かせないと、譲歩した。
 対中関係悪化が続く韓国の文在寅大統領は16日の演説で、「(朝鮮半島の)南北が鉄道でつながるとき新たな陸上・海上シルクロードが完成する」と強調。協力姿勢もみせながらAIIBを利用し、北を巻き込んでユーラシア大陸に陸路からも“直結”するとの政治的な野望をにじませた。
 (済州島 河崎真澄)

http://www.sankei.com/world/news/170617/wor1706170035-n1.html

アジア投資銀、最高格付け=債券発行で資金調達へ

6/29(木) 12:26配信 時事通信
 【北京時事】中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は29日、米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最高位の格付け「Aaa(トリプルA)」を付与されたと発表した。
 AIIBの格付け取得は初めて。設立1年半で、国際市場での債券発行の条件が整った。
 国際金融機関は債券発行によって投融資の資金を調達する。高格付けを得られれば、低いコストで発行でき、途上国への低利融資が可能になる。日米主導のアジア開発銀行(ADB)もトリプルAのため、AIIBの格付けが注目されていた。
 ムーディーズは格付けに当たり、AIIBの信用度を高く評価。資金繰りの見通しに関して「(ADBなど)他の高格付けの国際金融機関と同様に健全」とし、組織的にも問題ないと判断した。
 一方でムーディーズは、既存機関並みの運営が続けられなければ「格下げもあり得る」と指摘。発足したばかりのAIIBについて、事業展開を注意深く見守る方針を示した。
 ムーディーズは5月、中国の長期国債格付けを上から5番目に引き下げており、中国を最大出資国とするAIIBへのトリプルA付与を「整合性がない」(国際金融筋)と受け止める向きもある。 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170629-00000054-jij-cn

中国主導AIIB、ムーディーズから最上級格付け取得-債券発行に道
Bloomberg News
2017年6月29日 14:21 JST
 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから、世界銀行アジア開発銀行(ADB)と並ぶ最上級の信用格付けを取得した。
 29日の発表資料によると、ムーディーズはAIIBの格付けを「Aaa」とし、格付け見通しを「安定的」とした。開業2年目に入ったAIIBは融資案件と加盟国・地域を拡大しつつある。
 ムーディーズが最上級格付けを付与したことで、AIIBが資本増強のためにグローバル市場で債券を発行する道が開けた。ムーディーズは発表資料で、AIIBの資本基盤の大きさや「リスク管理自己資本流動性に関する政策を含むガバナンス(統治)の枠組みの強さ」を判断材料に挙げた。
原題:AIIB Gets Top Credit Rating, Paving the Way to Issue Bonds (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-29/OSAJ4V6TTDS001

AIIB債券、格付け期待 総裁「年内に」 総会きょう閉幕

2017年6月18日05時00分
 中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は17日、2度目の年次総会を開催中の韓国済州島で記者会見し、債券発行に必要な格付けを「年内に得られると信じる」と述べた。今の投融資は拠出金が原資だが、債券を発行すれば、より多くの投融資ができるようになる。
 AIIBは現在、国際大手3社、中国2社の格付け機関と格付けの取得に向けた交渉をしている。金氏は「中国の豊富な貯蓄を活用できる。日本の債券市場も忘れていない」と日中での資金調達に期待を示した。
 日米が参加する可能性については「AIIBはオープンで、常にドアは開いている」と述べ、引き続き期待を示した。
 総会はこの日までに議論を済ませ、18日に会期を終える。次回の年次総会は2018年6月にインドのムンバイで開かれる。

 ■中国に歩み寄った韓国
 ホスト国の韓国にとっては、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD〈サード〉)配備で悪化した中国との関係改善を一歩進める機会だった。
 会場では、文在寅(ムンジェイン)政権になって初めての中韓閣僚会談が実現。7月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議での中韓首脳会談実現に向けて、環境を整えた。
 「AIIB発足を主導した中国政府と、安定的な出発に貢献した金立群総裁の不断の努力に感謝する」
 16日、開会式で演説した文氏は中国に最大限の賛辞を送った。金東ヨン(キムドンヨン)・副首相兼企画財政相と中国の肖捷(シアオチエ)財務相との会談では、両国の堅固な経済協力関係を再確認。THAAD配置決定後、中国から韓国への団体旅行が大幅に減るなど「報復」とみられる動きが続いていたが、改善される可能性が出てきた。
 文氏が中国との関係改善を急いだ背景には、中国が最大の貿易相手国であることに加え、文氏が重視する南北対話に中国の協力が不可欠だからだ。
 文氏は演説で「(朝鮮半島の)南と北が鉄道で連結される時、新しい陸上・海上シルクロードが完全に完成する」と述べ、AIIBが将来、北朝鮮のインフラ整備に関わることに期待をにじませた。現状では未加盟国の北朝鮮は支援対象外だが金総裁は17日の記者会見で「投資の必要があれば総会で協議されるべきだ」と述べた。
 ただ、今月30日に予定されるトランプ米大統領との米韓首脳会談でTHAAD問題をどう取り扱うかによっては、再び中国が姿勢を硬化させる可能性もある。
 (西帰浦武田肇、福田直之)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12993256.html